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G82 · G-CODE CYCLE

G82ドウェル付き穴あけサイクルのCNCプログラミングと衝突防止対策

ProgrammingFanucSiemensMitsubishi·更新日 2026/07/23·読了目安 3分
クイックアンサー

CNCプログラミングにおけるG82ドウェル付き穴あけサイクルの役割は何ですか? G82は穴底でドウェル(休止)する穴あけサイクルです。残り取代を除去して仕上げ面を整え、G80キャンセルやパラメータ検証(Fanucの5209#2など)により、ロット間の寸法ばらつきやクランプ等への衝突を防ぎます。

はじめに

ワーク座標系(G54など)やアクティブな工具長補正値が物理的なセットアップと食い違った状態でG82ドウェル付き穴あけサイクルを起動すると、ツールタレットやスピンドルヘッドはプログラム上の補正が行われないまま危険なオフセット軌道を急送りで移動し、テーブル上のバイスジョー(vise jaw)や未加工ワークを固定する治具クランプ(table-mounted fixture clamps)、あるいはチャック爪(rotating jaws of a spindle chuck)に回転するドリル刃を最高速度で激突させる深刻な衝突事故を引き起こします。この機械的衝突は、高価な工具を瞬時に粉砕し、スピンドルアセンブリを深刻に歪ませ、過負荷アラーム(axis overload alarm)で機械を非常停止させるだけでなく、ワークそのものを修復不可能な廃品(ruined scrap)へと変えてしまいます。このパラメータが未検証のまま量産に入ると、2ロット目から寸法ばらつきが広がり、最終検査で初めて不良が発見されるという重大なリスクを招きます。段取り前にFanucの5209#2(DWP)や1681番、SiemensのCYCLE82、三菱の#19417などのパラメータを確認・検証しておくことで、このコマンドで最も多い非計画停止を防げます。適切なパラメータチェックを通じて、ロット間の寸法再現性の低下や不良品発生を確実に回避し、安全性を確認するためにプログラムをシングルブロックモードで空運転 (dry run)し、長期にわたる生産の高い信頼性と繰り返し精度を確立することができます。

技術概要

技術項目 仕様 / 設定内容
G-code G82 (Fanuc, Mitsubishi, Siemens ISO Dialect), CYCLE82 (Siemens Native)
モーダルグループ Group 09 (Fanuc, Mitsubishi, Siemens G291 ISO Dialect), Group 10 (Siemens G291 / Fanuc turning lists)
対応ブランド Fanuc, Siemens, Mitsubishi
重要パラメータ Dwell Time (P in milliseconds for Fanuc/Mitsubishi, DTB in seconds/revolutions for Siemens), Final Depth (Z / DP)
主な制約事項 サイクル実行前に主軸回転(M03またはM04)がアクティブである必要があります。また、ドライブエラーを防ぐため、軸切り替えや座標回転コマンドを実行する前に、必ずキャンセル(G80またはG290を使用)する必要があります。

クイックリード

  • 平底穴、スポットフェース、またはカウンターボーアにおいて、正確な表面仕上げと深さ制御が必要な場合にG82を選択します。
  • 最終深さで少なくとも主軸が1回転する時間を確保するため、主軸回転数(RPM)に基づいて最小限必要な底面ドウェル時間を算出します。
  • 軸エラーを回避するため、G82を呼び出す前に工具径補正(G41/G42)が解除(G40)されていることを検証します。
  • 固定サイクルを実行する前に、主軸が正転(M03)または逆転(M04)で回転していることを確認します。
  • 平面変更、座標回転、または軸切り替えを実行する前に、G80(またはSiemensでは空のMCALLブロック)でG82をキャンセルします。
  • 新規のG82プログラムはシングルブロックモードでテストし、実際の切削を行う前にHMI画面上の有効な座標位置を検証します。

基本概念

G82サイクルの主なプログラミング目的は、平底穴加工、カウンターボーリング、およびセンター穴あけを最適化することです。主軸を回転させたまま穴底で工具の軸送りを一時停止させることにより、この固定サイクルは切れ刃を完全に回転させ、残った取代をきれいに除去します。このドウェル動作により、切り屑(チップ)が細かく分断され、主軸の剛性不足による深さ方向のたわみが補正され、平坦で滑らか、かつ極めて精度の高い穴底面仕上げが保証されます。

プログラマは、標準的な主軸回転数(RPM)の公式を使用して、最低限必要なドウェル時間(Dm)を計算する必要があります:Dm = 60 / RPM。この計算により、最終深さにおいて主軸が少なくとも1回転完了することが保証されます。実際の加工現場では、工具が確実に端面素材を除去し、きれいな仕上げ面を残すために、特に低速回転時や重切削送り時には、この計算値の2倍以上の値をプログラミングするのが一般的な慣行となっています。

コマンド構造

G82のコマンド構造は、座標位置、深さ、送り速度、逃げ平面(R点)、およびドウェル時間を指定するように構成されています。座標値は穴の中心位置を定義し、Z値または深さ値は最終位置を指定します。逃げ平面、すなわちR点は、急送りからプログラムされた切削送り速度に切り替わる安全位置を定義します。

サイクルを実行すると、制御装置はまず主要軸に沿って穴座標まで急送りで位置決めし、続いて穴あけ軸に沿って安全逃げレベルまで急送りで移動します。その後、工具はプログラムされた送り速度で穴底まで進みます。指定された時間だけ穴底でドウェルを行った後、工具は初期平面レベル(G98復帰モード)またはPoint R逃げ平面(G99復帰モード) ofのいずれかへ急送りで退避します。

; Fanuc/Mitsubishi/Siemens ISO 構文:
G98 (or G99) G82 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

; Siemens ネイティブモード構文:
CYCLE82 (RTP, RFP, SDIS, DP, DPR, DTB) ;
アドレス / パラメータ 説明 システム / 単位
X_ Y_ 穴中心の座標値 Fanuc, Mitsubishi, Siemens ISO (mm または インチ)
Z_ 最終穴あけ深さ座標(絶対値または増分値) Fanuc, Mitsubishi, Siemens ISO (mm または インチ)
R_ Point R逃げ平面の座標値 Fanuc, Mitsubishi, Siemens ISO (mm または インチ)
P_ 穴底でのドウェル時間(正の整数に限る) Fanuc, Mitsubishi, Siemens ISO (ミリ秒、小数点不可)
F_ 切削送り速度 Fanuc, Mitsubishi, Siemens ISO (mm/min または inch/min)
K_ / L_ 繰り返し回数(Fanuc Series 16/30iではK、Series 15ではL) Fanuc, Mitsubishi, Siemens ISO (0から9999の整数)
RTP 退避平面の絶対座標 Siemensネイティブ (CYCLE82パラメータ)
RFP 基準平面の絶対座標 Siemensネイティブ (CYCLE82パラメータ)
SDIS 安全クリアランス距離 Siemensネイティブ (CYCLE82パラメータ、正の実数)
DP 絶対深さの座標 Siemensネイティブ (CYCLE82パラメータ)
DPR 相対深さ距離(基準平面に対する相対距離) Siemensネイティブ (CYCLE82パラメータ、正の実数)
DTB 最終深さでのドウェル時間 Siemensネイティブ (CYCLE82パラメータ、秒または主軸回転数単位)

ブランド別応用

Fanuc

Fanucシステムは、Parameter No. 0001 (Bit 1 FCV) を使用して固定サイクルの互換性を構成し、Parameter No. 5209 (Bit 2 DWP) を使用してモーダルドウェルの保持を設定します。

プログラマは、標準的なG98またはG99復帰モードを使用してG82を指令します:G98 G82 X400.0 Y-350.0 Z-153.0 R-97.0 P300 F120 ;

カテゴリー 設定値 / コード 説明 / 詳細
パラメータ Parameter No. 1681 モーダルブロックのオーバーラップ設定を制御します(Bit 0 DPS、Bit 1 DRL、Bit 5 DZL)。
アラーム Alarm PS0206 AXIS SWITCHING IN RIGID MODE: G82をキャンセルせずに穴あけ軸を切り替えた場合に発生します。
アラーム Alarm PS0003 OVERFLOW: INTEGER: オーバーラップ `,Q` 指令値が有効な 0〜2 の範囲外にプログラミングされた場合に発生します。
アラーム Alarm PS0200 ILLEGAL S CODE COMMAND: 主軸回転数が有効なギヤ制限の最大値を上回った場合に発生します。
バージョン Series 15 対 16/30i Series 15では繰り返し回数に L を使用し、Series 16/30iでは K を使用します。パラメータFCVによって構成されます。
バージョン C軸クランプ Fanuc Series 15プログラムフォーマットの指定中は無効になります。
警告Fanuc制御装置では、Pアドレスに小数点(例:P1.5)を記述しないでください。プリプロセッサが小数点を正しく解析できず、ドウェルが無視されるか、1ミリ秒の休止として解釈されるため、工具の擦れ(ラビング)や刃先の急激な摩耗の原因になります。

Siemens

Siemensのネイティブプログラミングでは、マシンのパラメータ MD 18800 を使用して外部Gコードコンパイラを有効にします。

ネイティブのSiemensモードでは、MCALLを使用してサイクルがモーダルに呼び出されます:MCALL CYCLE82 (50.0, -10.0, 1.0, -25.0, , 1.5) ; に続いて穴パターン座標を指定します。

カテゴリー 設定値 / コード 説明 / 詳細
パラメータ RTP, RFP, SDIS 退避平面、基準平面、および安全クリアランスの座標値。
パラメータ DP, DPR, DTB 絶対深さ、相対深さ、および穴底でのドウェル時間。
アラーム Alarm 61101 Reference plane defined incorrectly: RTP、RFP、および穴深さの整合性が取れていません(例:RFPが穴深さより下にある)。
アラーム Alarm 61003 No feed programmed in the cycle: 送り速度 F が指定されていません。
アラーム Alarm 61102 No spindle direction programmed: 主軸回転方向(M03またはM04)がアクティブなモーダルレジスタに登録されていません。
アラーム Alarm 61815 G40 not active: サイクル呼び出し前に工具径補正がアクティブになっています。
バージョン 840D sl 対 802D sl 840D slは高度なモーダル表示を提供し、802D slは書き込み保護されたリセット変数を使用します。
警告CYCLE82を呼び出す前に、G40を使用して工具径補正を無効化しなければなりません。G41またはG42を有効にしたままにすると、Alarm 61815が作動してプログラムの実行が停止します。

Mitsubishi

三菱CNCは、特殊フォーマットを有効にするためにパラメータ#1265を使用し、軸減速チェックのルールを定義するためにパラメータ#19417を使用します。

三菱の制御装置は、標準のGコードサイクルと特殊なブロックフォーマットの両方をサポートしています:G82 X100.0 Z-40.0 R-5.0 F120.0 P500 LI1, I0.2, J0.1 ;

カテゴリー 設定値 / コード 説明 / 詳細
パラメータ Parameter #1271 プログラムインタプリタで繰り返しコマンドを有効にするかどうかを切り替えます。
アラーム Program Error (P411) G82がアクティブな状態で、軸名切り替えコマンド(G111)が指令されました。
アラーム Program Error (P33) G82がアクティブな状態で、加工条件選択I(G120.1)が指令されました。
アラーム Program Error (P128 / P923) G82がアクティブな状態で、加工条件選択Iキャンセル(G121)または座標回転が指令されました。
バージョン 旋盤シリーズ 15-T G82は標準ではGroup 09に属しますが、Gコードリスト6および7ではGroup 10/09に属します。
バージョン G188 / G189切り替え Gコードリストを動的に切り替えて翻訳するバイモーダルフォーマットコンパイラ。
警告G82サイクルがモーダルの状態で、座標回転(G68)や3次元座標変換(G68.1)を有効にすることはできません。実行するとP923やP261などのプログラムエラーが発生し、即座に運転が終了します。

ブランド比較

機能・性能 Fanuc Siemens Mitsubishi
ドウェルプログラミング (P / DTB) ミリ秒単位の正の整数(小数点不可)として厳密に指定(例:P500)。 ネイティブモードでは秒単位の実数(例:DTB=1.5)または主軸回転数。ISOモードではミリ秒整数。 ミリ秒単位の整数。特殊フォーマットでは小数点は無視されるか切り捨てられます。
モーダルサイクルのキャンセル 後続ブロックのG80またはGroup 01移動コマンド(G00, G01)によってキャンセルされます。 ネイティブのCYCLE82では、モーダル状態を解除するために明示的な空のMCALLブロックが必要です。 G80、Group 01移動コマンド、またはG188などの動的切り替えによってキャンセルされます。
バイモーダル切り替え バイモーダルフォーマットの切り替えはサポートされていません。 G290(ネイティブSiemens)とG291(ISO Dialect)コマンドによるデュアルインタプリタモデル。 フォーマット切り替えG188 / G189により、有効なGコードテーブルを動的にオンザフライで変換・切り替えます。
インポジション / 減速チェック システムパラメータを介してグローバルに管理されます。 安全クリアランスおよびサイクルパラメータによって管理されます。 特殊フォーマットにより、ブロック内に `,I` および `,J` の許容値を記述できます。減速チェックパラメータ #19417。

技術解析

各制御装置のアーキテクチャの違いを分析することで、プリプロセッサがプログラム構造をどのように解釈するかが明らかになります。Fanucはドウェル値(P)と繰り返し回数(K)を厳密に正の整数として解析するのに対し、Siemensは実数を含むデカップルされたパラメータリストを使用します。G82サイクルでは、Fanucはドウェル時間を小数点なしのミリ秒単位の整数(P500)で記述する必要があります。これに対し、ネイティブのSiemens制御では、従来のGコードシーケンス構造を回避するため、パラメータ駆動のテクノロジーサイクルであるCYCLE82を使用します。CYCLE82のパラメータ(退避面 RTP、基準面 RFP、安全クリアランス SDIS、絶対深さ DP)は個別の実数であり、ドウェル時間(DTB)は秒単位または回転数の小数として指定されるため、整数の解析エラーが排除されます。

固定サイクルの解除方法にも、コンパイラによる大きな違いが見られます。Fanuc制御装置は、Group 01移動コマンドの上書きによってサイクル解除を管理します。後続のブロックでG00やG01などのGroup 01移動コマンドを指定すると、アクティブな固定サイクルは自動的にキャンセルされ、G80コマンドと同じ挙動を示します。これに対して三菱の旋盤システムは、G82のモーダルテーブルをオンザフライで再配置し、統一されたグループテーブルでキャンセルを処理する動的なバイモーダルG188/G189コンパイラを備えています。一方、Siemensのネイティブ制御は、移動コマンドによるサイクル解除を完全にバイパスします。MCALLで呼び出されたモーダルサイクルは、オペレータが単独の空のMCALLブロックを記述するまで、G00やG01の移行を完全に無視し、後続の座標ブロックで厳密に有効であり続けます。

最後に、三菱のコンパイラは、パラメータでロックされたフォーマット(#1265のext01/bit2がON)をサポートしており、プログラマはインライン許容値パラメータ( `,I` および `,J` )を使用して、位置決め軸および穴あけ軸のインポジション幅をサイクルブロック内に直接出力できます。また、三菱には専用の並行軸減速チェック選択パラメータ(#19417)があり、軸送りを反転させる前にドライブチェックのsv024インポジション幅検証を強制することで、軸の追従遅れを防ぎます。Fanuc制御にはこのようなパラメータレベルの減速カスタマイズ機能はなく、一方向位置決めや連続経路加減速はグローバルまたは事前に割り当てられたGコードで管理されます。Siemensは、これらの遷移を安全クリアランス距離とネイティブのサイクルパラメータ設定を介して制御します。

プログラム例

Fanuc G82の例

G90 G99 G82 X400.0 Y-350.0 Z-153.0 R-97.0 P300 F120 ;
空運転:

制御装置の座標は絶対値(G90)です。機械は工具をXY平面内でX400.0 Y-350.0の位置まで急送りします。その後、穴あけ軸はZ-97.0(G99)のPoint R逃げ平面まで急送りで下降します。Z軸は120 mm/minの速度で最終深さZ-153.0まで制御された直線送り(G01)を開始します。Z-153.0に到達すると軸送りは停止し、主軸は回転を続けたまま工具が300ミリ秒(P300)ドウェルし、穴の底面をきれいに仕上げます。その後、G99後退コードにより、Z軸はPoint RレベルのZ-97.0まで急送り(G00)で戻ります。

Siemens CYCLE82の例

G290 ;
MCALL CYCLE82 (50.0, -10.0, 1.0, -25.0, , 1.5) ;
X20.0 Y30.0 ;
X40.0 Y50.0 ;
MCALL ;
空運転:

制御装置がネイティブのSiemensモード(G290)に切り替わります。テクノロジーサイクルCYCLE82がMCALLを介してモーダルメモリにロードされます。設定パラメータは以下の通りです:退避平面 RTP = 50.0、基準平面 RFP = -10.0、安全クリアランス SDIS = 1.0(暗黙のクリアランスは RFP + SDIS = -9.0)、絶対深さ DP = -25.0、ドウェル時間 DTB = 1.5秒。最初の座標ブロック X20.0 Y30.0 が処理されると、機械は工具を X20.0 Y30.0 まで急送りします。主軸は安全クリアランスレベルの -9.0 まで急送りされた後、有効な送り速度で Z-25.0 まで進みます。工具は主軸が回転した状態で Z-25.0 にて1.5秒間ドウェルし、その後 RTP である Z50.0 まで急送りで後退します。機械は2番目の座標 X40.0 Y50.0 へ急送りし、同じ穴あけサイクルを繰り返します。最後の空の MCALL ブロックによりモーダルサイクルの登録が解除され、システムは通常の移動ブロックに戻ります。

Mitsubishi G82の例

G82 X100.0 Z-40.0 R-5.0 F120.0 P500 LI1, I0.2, J0.1 ;
空運転:

機械はブロックを三菱旋盤の特殊フォーマットとして解釈します。X軸は100.0の位置へ移動し、同時に工具はZ軸に沿ってZ-5.0のPoint R逃げ平面まで急送りされます。Z軸は120.0 mm/minで最終深さZ-40.0まで直線送りされます。工具は穴底で500ミリ秒(P500)ドウェルし、その間も主軸は回転を維持します。プリプロセッサは0.2 mm(I0.2)および0.1 mm(J0.1)のインポジション許容値を評価し、軸の整列を検証します。その後、工具は急送り(G00)で逃げ平面まで退避し、繰り返し回数 LI1 を1回実行します。

エラー解析

ブランド アラームコード 発生条件 オペレータから見た症状 根本原因 / 対策
Fanuc Alarm PS0206 軸切り替えエラー:固定サイクルをキャンセルせずに、アクティブな穴あけ軸を切り替えようとしました。 プログラム実行が即座に停止し、HMI画面にアラームコードが表示され、軸の移動がロックされます。 G82モーダルサイクルがシステム内でまだアクティブです。軸を変更する前に、G80コマンドを挿入してG82サイクルをキャンセルしてください。
Fanuc Alarm PS0003 整数オーバーフロー:オーバーラップ `,Q` 指令値が有効な 0〜2 の範囲外でプログラムされました。 制御装置が整数オーバーフローエラーを生成し、サイクルブロックの実行を停止して、システムフォールト状態を引き起こします。 オーバーラップ指令値が大きすぎるか無効です。ブロック内の `,Q` 値を 0〜2 の範囲に修正してください。
Siemens Alarm 61101 基準平面定義エラー:退避平面(RTP)、基準平面(RFP)、および最終深さ座標の論理的整合性がありません。 コンパイラがブロックを実行する前にプログラムを停止し、物理的な軸移動を阻止して座標エラー画面を表示します。 座標値の論理関係が正しくありません(例:RFPが穴深さより下にある)。安全な退避経路を確保するため、RTP、RFP、および深さの値を修正してください。
Siemens Alarm 61815 工具径補正アクティブ:サイクル呼び出し時に、工具径補正(G41またはG42)がアクティブになっています。 テクノロジーサイクルがコンパイルできず、補正アラームが発生して軸の移動が停止します。 CYCLE82実行中は工具径補正はサポートされていません。CYCLE82を呼び出す前に、G40コマンドを記述して補正を解除してください。
Mitsubishi Program Error (P411) G82アクティブ中の軸名切り替え:G82が有効な状態で、軸名切り替えコマンド(G111)が指令されました。 プログラムエラーP411を表示して、機械軸を非常停止させます。 固定サイクルがアクティブな状態での軸変更は無効です。G111を指令する前に、G80コマンドでG82モーダルサイクルをキャンセルしてください。
Mitsubishi Program Error (P923) G82アクティブ中の座標変換:G82が有効な状態で、座標回転ONまたは3次元座標変換(G68.1)が指令されました。 制御装置が回転コマンドの実行を停止し、エラーP923を表示して、送り保持(フィードホールド)状態のままになります。 サイクルがモーダルの間は座標変換を起動できません。G68またはG68.1を指令する前に、G80でG82をキャンセルしてください。

実務応用ノウハウ

主軸ボールねじやスピンドルアセンブリの致命的な破損、あるいは軸過負荷アラーム(Fanuc PS0206やSiemens Alarm 14800、三菱 P411)による非計画停止は、G82穴あけサイクル起動前のパラメータ検証不足が引き起こす直接的な結果です。特に、三菱の減速チェクセレクトパラメータである#19417の設定が未検証で、穴底での sv024 インポジションチェック(in-position width verification)が適切に行われない場合、ドリルが完全に後退しきる前にXY軸の急送り移動が始まり、テーブル上のバイスジョー(vise jaw)や未加工ワークを固定する治具クランプ(fixture clamp)にドリル刃が横方向から激激突します。また、Fanucの5209#2(DWP)パラメータでドウェルモーダルの保持設定が解除されていたり、ドウェル時間Pに小数点(例えばP1.5など)を記述するミスによりドウェルが無視されると、刃先が穴底の残り取代を十分に除去できないまま急送りで後退します。これにより、ロット間での寸法ばらつきが増大し、2ロット目以降で穴深さのばらつきが広がり、再現性の低下や大量の不良品発生へと直結します。段取り作業者は、Fanucの1681番や5209番、SiemensのMD 18800などの制御パラメータを量産前に必ず検証し、アクティブなモーダル情報をHMI画面で確認するとともに、初品加工時には必ずシングルブロックモードで空運転を実行して、安全な加工プロセスを確立する必要があります。

関連コマンド

  • G80: すべてのアクティブな固定サイクルをキャンセルし、制御装置を通常の直線・円弧補間モードにリセットします。
  • G81 (または CYCLE81): 穴底ドウェルを行わない標準的な穴あけを実行します。底面の仕上げ精度が重視されないシンプルな貫通穴に適しています。
  • G76: 旋盤構成におけるマルチパスねじ切りサイクル。
  • G89 (または CYCLE89): 穴底でドウェルを行い、後退時は急送りではなく切削送りで戻ります。ボア内壁の傷(擦れ跡)を防ぐのに適しています。
  • G04: 固定サイクルの動きとは独立して、プログラムブロック内で単独のドウェル休止を実行します。
  • MCALL: Siemensのネイティブモーダルサイクルを有効にします。サイクルブロックを再記述することなく、個別の座標パターンを実行できます。

おわりに

G82カウンターボーリングサイクルにおける信頼性の高い穴加工を維持するには、ドウェル時間の正確な算出と、適切なサイクルキャンセル手順の徹底が不可欠です。主軸回転数(RPM)に応じた正しいドウェル秒数を設定して底面仕上げを均一にし、加工終了時にはG80または空のMCALLコマンドによるキャンセルを実行して不要なモーダル保持を解除することで、隣接するワーク保持具やクランプへの物理的激突を確実に防止できます。段取り時のパラメータ検証と事前チェックの習慣化こそが、非計画停止を防ぎ、ロット間の繰り返し精度を極限まで高める最も確実な手法です。

よくある質問

ロット間の穴深さ寸法にばらつきが発生する場合、G82のどのパラメータを確認すべきですか?

FanucのParameter No. 5209 Bit 2 (DWP)が 0 になっていると、G82ブロック以外でドウェルが無視され、加工中の主軸負荷の変動によって底面の仕上げ高さがばらつく原因になります。このビットを 1 に設定してドウェルをモーダルとして保持するか、プログラム内のすべてのサイクル指令にPアドレスを明記してドウェル動作を保証してください。プログラム作成時には必ずパラメータ設定を確認し、すべてのG82指令にP値が記述されていることをテキストエディタの検索機能で照合することをおすすめします。

G82サイクル実行時にFanucでPS0206アラーム(または三菱でP411エラー)が発生する原因と対策は何ですか?

これは、G82のモーダル状態がアクティブなまま、G80によるキャンセルを挟まずに別の穴あけ軸への切り替え(軸変更コマンドの発行)や座標操作を行ったことが原因です。制御のプリプロセッサがモーダル競合を検知して非常停止をかけます。これを防ぐため、平面変更や軸変更コマンド(G111など)を指令する直前に、必ず単独ブロックでG80を挿入してサイクルを完全にキャンセルしてください。

Siemens制御でG82(またはCYCLE82)を使用するときにAlarm 61815が表示されてプログラムが停止するのはなぜですか?

これは、CYCLE82を呼び出す前に、工具径補正(G41またはG42)がアクティブな状態のままになっているためです。Siemensの制御システムは、サイクル実行中のツールパス干渉を防ぐため、補正が有効な状態でのサイクル起動をインターロックで禁止しています。CYCLE82の呼び出しブロックの直前に必ずG40コマンドを記述し、工具径補正を一時的にキャンセルしてからサイクルを実行してください。

HG

Hakan Gündoğdu

CNC CARE CO-FOUNDER

CNC uzmanı, 25+ yıl saha tecrübesi, Mitsubishi Electric Türkiye geçmişi.